俺様常務の甘い策略
16、夜に咲く綺麗な花
「君が沙羅だね。初めまして」

応接室にミネラルウォーターを持っていくと、スコット氏がにっこり微笑んで私に右手を差し出した。

わざわざ仕事の話を中断させて私に握手を求めるなんて……。

颯介がきっと私の事を話したのだろう。でなければ、ファーストネームでいきなり呼び掛けない。

私はスコット氏の隣にいる颯介をギロッと睨むが、あいつは何食わぬ顔をしていた。

「颯介からよく君の話は聞いているよ。初めて会った気がしない」

笑顔が凄く魅力的な人だ。独特のオーラがあって引き付けられる。王者の風格と言うか……。

社長も凄い人だって思うけど、この人は別格。

日に焼けた顔。目尻の笑いじわはこの人の魅力を引き立たせる。五十五歳って聞いてるけど、見た目が若くて四十代に見える。

髪はアッシュブラウンのちょっと私好みのイケメンなオジサンだ。
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