俺様常務の甘い策略
颯介の後について船首に向かう。

そこでは、頭上で花火が上がっているのかと思うくらい花火がよく見えた。

夜空に咲く綺麗な華。

普通の丸型花火や、土星やニコニコマークの花火、ジョージが特別に依頼したのか、蝶やハート型の花火まであって、私達はずっと空を見上げてた。

「こんなに大きくて綺麗なの初めて」

私が感嘆の声をもらすと、颯介が私の耳元で囁いた。

「今日の沙羅も綺麗だけどね。その浴衣、よく似合ってるよ」

「……ありがとう」

私は恥ずかしくて颯介の顔が見れなくてうつ向いた。

どうしよう……。

颯介に言う?言わない?

この期に及んで尻込みする自分が恨めしい。

「ジョージがね、沙羅が俺に何か言いたいことがあるって言ってたけど」

颯介が黒い笑みを浮かべる。
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