俺様常務の甘い策略
「寝る間もないくらい仕事を与えて下さいね。後で精神的苦痛を与えられた事に対する慰謝料を請求するかもしれません」

沙羅がクスッと笑う。

「まあ、お灸を据えるのは賛成だね。あの馬鹿にもう日本に来るなって伝えてくれる?」

来る度に面倒を起こされてはたまらない。

「そう邪険にするなよ。今度会う時はあいつと一緒に酒でも飲んでやってくれ」

「考えとく」

一緒に飲んでもどうせあいつは女の話しかしないけど……。

「それより、お前の親父さんとはちゃんと話をしたのか?風間物産の社長就任の話」

「昨日電話で話はしたよ。渋々承諾って感じだったけどね。あの人は他人にも息子にも厳しいし。だけどお袋にだけは甘いと言うか弱いんだよね。義理の父親が経営する会社を俺が継ぐんだ。お袋の前で嫌な顔は出来ない」

「そうか。だが、会って話をしたらどうだ?沙羅さんの事だってあるだろう?まだわだかまりがあるならなおさらだ」

ジョージの言うことにも一理ある。

遅かれ早かれ両親には紹介しないといけない。彼女と結婚するなら尚更だ。

「わかった。年寄りの忠告は素直に聞く事にするよ」

俺が悪戯っぽく笑うと、ジョージは顔をしかめ俺の首に腕を回した。
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