俺様常務の甘い策略
「藤堂の姓になるのが嫌なら、俺が婿養子に入って秋月の姓になっても構わないよ」

「だから、話を誤魔化さないでよ!私は結婚するなんて言ってないわよ!」

「この期に及んで何言ってんの?ついこの間まで婚活してたくせに」

俺が冷ややかにそう言うと、沙羅は言葉を詰まらせた。

「そ、それは……。でも、心の準備も出来てないし……手ぶらで来ちゃったし……帰るわよ。颯介のご両親に会うなんていきなりすぎて無理無理」

俺のスーツの袖をぎゅっと掴みながら、沙羅がブンブンと頭を振る。

そんな沙羅を俺はちょっとからかった。

「二人きりになりたいのはわかるけど、それはもう無理みたいだよ」

監視カメラで誰が来たのかもう向こうにはわかってるだろうし。

「そんな事一言も言ってないわよ!」

沙羅が声を上げて抗議する。
< 227 / 299 >

この作品をシェア

pagetop