俺様常務の甘い策略
「はい。その秋月沙羅です。初めまして」

沙羅は作り笑いをしてペコリと頭を下げる。

「颯介の母の藤堂琴音です。琴音って呼んでね。私……てっきり秋月さんて男の子かと思ってたの。颯ちゃんがとても楽しそうにあなたの事を話してたから。来てくれて嬉しいわ。夕飯は?まだなら食べていって。それから、チーズケーキ好きかしら?あっ、今夜は泊まって行きなさいよ。着替えは私ので良かったら……‼」

「母さん、そんなにはしゃがないの。明日は仕事があるし、ちょっと話したら帰るよ」

延々と喋るお袋の言葉を俺は遮る。止めないとこの人はここで何十分でも喋り続けるだろう。

「あら、ごめなさい。私……興奮しちゃって。だって、颯ちゃんが女の子を連れて来たの初めてなんだもん。嬉しいわ」

お袋は沙羅の両手をぎゅっと握ってニコッと笑った。

「いえ……こちらこそ突然来てしまって」

沙羅が困惑した表情を見せる。
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