俺様常務の甘い策略
落ち着いて結婚の事を考えるって決めてたんだけどな……。

ずっと一人暮らしで一人には慣れっこだったはずなのに、颯介が出張に行ってしまうと喪失感に襲われた。

颯介がプリンスを連れてきてくれて本当に良かったと思う。

プリンスはうちに来たダックスフンドの名前。

「沙羅が名前をつけていいよ」って颯介が言ったので、悩みに悩んだ末プリンスと名付けた。

「自分で否定してても、沙羅もいつか王子さまがって思ってるんだね」なんて颯介には笑われたけど……。

颯介との事を考える時間はたっぷりあったのに、私は必死にあいつがいないって事を考えないようにしていた。

コンビニ弁当をムキになって食べ続け、最近適当だった会長の世話を甲斐甲斐しくしながら、講演資料作りに没頭。帰宅すればプリンスの散歩に出かけ、夜はプリンスを抱き締めながらクリス・ガーナー主演のアメリカのドラマのDVDを毎日鑑賞し、就寝時はプリンスを抱いて寝た。

それでも……私はずっと颯介の存在を求めてて……。
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