俺様常務の甘い策略
もう颯介なしの生活って考えられないんだと痛感した。

今の私はロス颯介病だ。

颯介がいないと不安で仕方がない。

しかも、ハリケーンのせいで一日遅れて帰国って……。

神様は意地悪だ。今日こそは本当に帰って来て欲しい。でないと、私が発狂しそう。

颯介が帰って来るなら、今すぐ結婚してもいい。いや、何がなんでも結婚してずっと一緒に暮らす。

私をいつもドキドキさせるあの声……あの眼差し……。私は知らぬ間にすっかり颯介のものになっていたのかもしれない。

ハーッと私は盛大な溜め息をつく。

気づけば隣の席にいる田中さんも、同じタイミングで溜め息をついていた。

「……同行した渡辺も今日帰国だもんね。田中さんも寂しいよね」

「は?わ、私はただリスケするのが面倒で溜め息ついただけです」

必死に否定するが、田中さんの顔はほんのり赤くなる。

あ~あ、ムキになっちゃって。動揺してるよ、この子。

渡辺が出張中、いつもボーッとしてたくせに……。
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