俺様常務の甘い策略

「でも、沙羅ちゃんに何かあったら、あの子きっと冷静さを失うと思うわよ。いつもあんな余裕顔だけどね。まさかあの子の口から結婚なんて言葉が出てくるとは思わなかったわ。私から見てもわかるけど、あの子沙羅ちゃん溺愛してるわよ」

優雅にティーカップを持ちながら琴音さんがフフっと声を出して笑う。

「溺愛……ですか？」

……言われてみると、私……相当あいつに甘やかされてるし、大事にされてる。

実家の母でさえ教えてくれなかった料理も凄く丁寧に教えてくれるし、パンプスで足が痛かったりすると夜フットマッサージしてくれたりするし……。

時々意地悪はされるけど、私を見る颯介の眼差しはいつも優しくて……そして、熱い。

「藤堂家の男はね。一度愛した女はずっと一途に愛し続けるの。定治さんも、うちのお兄ちゃんもそう。颯ちゃんも藤堂家の男ですもの。だから、何も悩む必要はないのよ。どーんと颯ちゃんの胸に飛び込んじゃいなさいよ。あの子は喜んで受け止めるわ」