俺様常務の甘い策略
でも、そんな私の希望を次の田中さんの言葉が打ち砕いた。

「……あ、秋月さん……搭乗者リストに……藤堂さんと渡辺さんの名前がありました」

受話器を置いて私にそう伝える田中さんの声は震えていた。

「……嘘だ。何かの間違いよ。颯介が死ぬはずない」

私はポツリと呟くと、もう一度颯介の携帯に電話をかける。

だが、スマホから聞こえてくるのは呼び出し音だけ……。

「何やってんのよ。早く電話に出なさいよ!」

私はスマホを耳に当てたまま叫ぶ。

自分は何か悪夢でも見てるんじゃないだろうか?

今現実に起こっている事が信じられなくて、私は気が変になりそうだった。

「沙羅先輩……会長に連絡しましょう」

今、秘書室で一番冷静な夏海ちゃんが私の肩にそっと手を置く。

「沙羅先輩、大丈夫ですか?私から会長に伝えましょうか?」

夏海ちゃんが呆然としている私を気遣う。

「ううん、大丈夫。社長秘書は私だもの。私が伝える」
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