俺様常務の甘い策略
「……無事で良かった」

「まだプロポーズの返事聞いてないからね。死ねないよ。それで、沙羅はどうしたい?」

颯介は抱擁を解くと、私の頬に手を当てる。

もう悩む必要はない。私の答えは一つだ。

「結婚してあげるわよ!何なら今から区役所に婚姻届もらいに行く?」

喧嘩腰で私がそう答えると、颯介はプッと吹き出した。

「沙羅、最高。前向きなのは嬉しいけど、その前に沙羅のご両親にちゃんとご挨拶しないとね」

「笑わないでよ」

こっちは真剣に答えたのに……。

颯介の反応に私はむくれる。

「ごめん。でも、今はお前が欲しいんだけど……」

愛おしげに私を見つめるその瞳。

私の顎をすくい上げるように持ち上げると、こいつは身を屈めて私に口付ける。
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