俺様常務の甘い策略
結婚前に一緒に住んでる事についても、うちの父は「もう大人なんだから何も言わないよ」と意外と冷静だった。颯介が空き巣の話をして同居することになった経緯を事前に電話で話したみたいだけど……。

お父さん、完全に颯介に丸め込まれてるよ。

この人……悪魔だよ。目的のためなら手段を選ばないんだよ。

冷ややかに颯介の様子を眺めていると、縁側に一人の青年が現れた。

「おじさん、取ったナスとトマト、裏に置いといたから」

青年は父にそう声をかけると、キャップを取って額の汗を手で拭う。

あっ‼凄く日に焼けてるけど、この顔は……。

「涼太!」

「よお、久しぶりだな」

涼太が私の方を向いてニコッと笑う。

こいつは私と同じ年の従兄だ。誕生日が数ヶ月しか違わないから何かと張り合う事が多かったけど……。

最後にあったのは大学生の時に葬式で親戚が集まった時だったから、会うのは……十年ぶりだろうか。
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