俺様常務の甘い策略
空き巣に襲われた時の事がフラッシュバックしてきて、私は驚愕に震えた。

従兄なのに……怖い‼

目を見開いたまま涼太の顔を見ていると、何かが飛んで来てこいつの頭を直撃した。

「いてっ!」

涼太が呻いて頭を押さえる。

パコッ、コロコロと音がして縁側に転がる物体を見ればそれは空のビールの缶で、投げたのは……。

「ごめん。転がってたからつい投げてみたくなってね」

悪魔のような笑みを浮かべた颯介だった。

禍々しいオーラ全開。

怖い。怖いよ、この笑顔。

今ではこういう笑顔の時は、颯介が凄く怒ってるっていうのがわかる。

「酔ってるとしても悪ふざけが過ぎるんじゃないかな?」

颯介は絶対零度の眼差しで涼太を見据えると、涼太の着ていたTシャツをつかんで私から引き剥がす。
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