俺様常務の甘い策略
「俺は……ただ躓いただけだ」

涼太は颯介の手を乱暴に払いのけると、ムッとしながら言い訳する。

嘘をつけ!人を組み敷いたくせに!

私が涼太をギロッと睨み付けると、颯介が私の手をつかんで立ち上がらせた。

「沙羅、先に戻ってて」

顔は笑顔だけど、有無を言わせぬその眼差しに私は黙って頷く。

チラリと目を涼太に向けると、後の事は颯介に任せて私は客間に戻った。

畳に敷かれた布団にダイブすると、私はそのまま枕に顔を埋める。

颯介が現れなかったらマジでヤバかった。

……あのまま涼太にキスされるかと思った。

酔ってるとはいえ、私にあんな事してくるなんて何考えてるんだか……。いや、何も考えてないから酔っぱらいなのか?

明日の朝起きたら、涼太を一発殴ってやらなきゃ気がすまない。
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