俺様常務の甘い策略
自覚って何だ?

「何が?意味がわからない」

正直に答えると、誠司は心底呆れたような目で俺を見た。

「何がって。お前、秋月の事、好きだろう?お前の周りの人間はみんなそう認識していて、秋月には絶対に手を出さないぞ。お前の報復が怖いからな」

「好き?ライバルとしては認めていたが……」

誠司の意外な言葉に今度は俺がギョッとする。

「学生時代、秋月に近づく男をことごとく排除してきたのは誰だっけか?」

誠司の目が面白そうにキラリと光る。

こいつにこんな目で見られとムカつく。

「男慣れしてない秋月が変な男に引っ掛からないようにしてただけだよ。ライバルがいなくなるのは寂しいからね」

俺が冷淡に答えると、誠司は声を上げて笑った。

「ライバルってお前にとっては都合のいい言葉だな。秋月以外の女は眼中にないだろ?」

「秋月と他の女を比べるのが間違ってるよ」

「秋月はお前の聖域にいるもんな。もし、仮にだ、お前が認めるいい男が秋月と結婚するなら、お前は素直に祝福出来るか?」
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