俺様常務の甘い策略
「……通用しないだろうな。そろそろ俺が本気で仕掛けないと」

誠司の目を見て、俺は口角を上げた。

「気づかせてくれた事に感謝する。日本に戻ったら、必ず俺のものにするよ」

「お前が全力でいくと怖いから……まあ、程々にな」

誠司が苦笑しながら俺の肩をポンポンと軽く叩く。

「俺は化け物か?」

片眉を上げながらそう突っ込むと、「この世に悪魔ってのがいるなら、それはお前の事だ。綺麗な顔で唇に笑みをたたえながら誰にも出来ないことを容易くやってのけるんだからな。全力でいって秋月を怯えさせるなよ」と誠司に忠告される。

それなら、じっくり時間をかけて俺のものにすればいいわけだろ?

秋月が気づいた時にはすでに逃げられないように……。

帰国して秋月に会うチャンスがすぐにやってきた。

高校時代の知り合いに婚活パーティがある事を聞かされ、最初はどうせ人数合わせの為だし断るつもりだったが、秋月が参加すると聞いて結局参加することにした。

パーティ当日、俺の家柄や経歴を知って女がウヨウヨ寄ってきたが、俺は適当にあしらっていた。

俺はこんな金目当ての女に捕まる程愚かではない。パーティに退屈していたところに、彼女が現れた。
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