俺様常務の甘い策略
秋月には悪いが彼女には逃げ道はない。悪い男に捕まったと諦めてもらうしかない。それか……俺の事を本気で好きになってもらうか……。

「藤堂さん、コーヒーお持ちしましたよ」

「ああ、ありがとう」

いつの間にか秋月がコーヒーを持って戻ってきたらしい。

ソファーに座りカップを手にとって口に運ぶ。

香りもいいし、味も苦味がなくて美味しい。

「さすが秋月だね。美味しいよ」

俺が心から褒めると、秋月は得意気な顔でにっこり微笑んだ。

ほんと、わかりやすい性格。高校の時と変わらない。

秋月は俺を屈服させたいのだ。

だが、次の俺の言葉を聞いて彼女はあからさまに顔をしかめた。

「これから毎日秋月にコーヒー入れてもらおうかな?」

「……常務の担当の秘書はもっと美味しいコーヒーを入れてくれると思いますよ」

頬をピクピクさせながら無理矢理作り笑いする秋月を見て、思わず口元が綻ぶ。
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