俺様常務の甘い策略
私は和久井さんに向かってクスッと笑って見せる。

「秘書ですか。だから、そんなに綺麗なんですね」

「お上手ですね」

私がフッと微笑すると、和久井さんはポッと顔を赤らめた。

何、この反応?可愛すぎる。

顔は整ってるし、なかなかいいかもしれない。

ああ、早く名刺くれないかしら。

私が期待の眼差しで和久井さんをじっと見つめていると、彼が慌ててポケットから名刺入れを取り出した。

「あの……これ、僕の名刺です」

和久井さんが私に名刺を差し出す。

「ありがとうございます。主任研究員で博士号も持ってるんですね。凄い!」

「いえ、そんな事はないです」

和久井さんが恥ずかしそうにポリポリと頭をかく。

「勤務先は国立みたいですけど、家も国立なんですか?」

「ええ、会社の寮も国立にあって」

会社の寮……か。

その言葉にちょっとテンションが下がる。
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