俺様常務の甘い策略
「あのう、すみません。これだけの荷物……その……今日中は無理です」

田中さんが困惑した表情で俺を見る。

どこから手をつけていいかわからず途方に暮れるといったところだろうか。

そんな顔をすれば、男はみんな許してくれると思っているのだろう。

俺が一番嫌いなタイプの女。

「無理かな?田中さんの担当は僕だけみたいだけど。一日じゃあ足りない?じゃあ、何日あれば出来るの?」

あえて意地悪く接してみる。

田中さんのようなタイプは優しくしても付け上がるだけ。時間を与えたところで、この部屋を綺麗にはしないだろう。

そういう女は今までたくさん見てきて知っている。

「それは……」

田中さんが言葉に詰まり黙り込む。

見た目通りの使えない女。

冷ややかな目で彼女を一瞥して、俺はデスクの上の電話に目を向ける。

「そう。じゃあ、秋月呼んでくれる?」

使えない女とこれ以上無駄話をする気はない。
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