俺様常務の甘い策略
田中さんが受話器を置いて一分も経たないうちに、秋月がノックもせずに飛び込むように部屋に入ってきた。

「ちょっと、藤堂、どういうつもりよ!女の子に優しいのがあんたの貴重な長所なんだから、担当秘書くらい大事に扱いなさいよ。私だって忙しいんですからね。あんたの小間使いじゃないのよ!」

一気に捲し立てた秋月は、疲れたのかゼーハーと肩で大きく息をする。

凄い剣幕。

思わず吹き出しそうになるのを必死で堪える。

「俺はただこの部屋を今日中に片付けて、最新のパソコンを手配してくれるように彼女に頼んだだけだよ。大騒ぎする話だと思う?」

俺は壁にもたれ掛かりながら秋月に向かって微笑む。

俺の言葉に拍子抜けしたのか、彼女は脱力した。

「はあ?それだけ?田中さん、そんな事で私を呼び出したの?」

秋月が田中さんに目をやると、田中さんはばつの悪そうな顔をした。
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