俺様常務の甘い策略
「秋月、お前なら出来るよね?」

秋月を見据えて彼女を挑発するように声をかける。

彼女の答えなんて聞かなくてもわかってる。俺の前では絶対に出来ないなんて言葉は口にしない。

「出来るに決まってるでしょ。ちょっと肉体労働だけど。私を誰だと思ってるのよ」

「さすが、秋月だね。じゃあ、ついでにうちのシェールガス開発プロジェクトの資料集めておいてくれる?」

秋月を褒めておいて調子に乗せる。

うちのシェールガス開発は他社に遅れをとっていて、このまま継続するか、撤退するか判断を迫られている。

エネルギー関連に強い俺は、その判断を社長に一任された。

だが、判断しようにも手元にその材料がない。

秋月なら社内の事情にも通じているし、資料を集めるくらいわけないだろう。

「お安い御用よ。私に不可能はないわっ……て、そんなのあんたの悪友の渡辺に頼めばいいじゃない!」

やっぱり、そこは突っ込む訳だ。俺のいいように乗せられてはくれないらしい。
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