俺様常務の甘い策略
肩を上下させながら声を上げる秋月をじっと見ながら、フッと微笑する。

「誠司は今、イギリスに出張中でね。来週まで待てないんだよ。明日、関係者に会うから、今日の夕方までには欲しい。秋月は優秀だから、このくらい朝飯前だよね?」

「もちろんよ!」

キッと挑むような視線で秋月が俺を見る。

かかった。

秋月はこうでなくては。

「あのう……お二人は知り合いなんですか?」

話の蚊帳の外にいた田中さんが、遠慮がちに俺達に割って入る。

恐らく俺と秋月のやり取りに呆気に取られたのだろう。

常務である俺に対して秋月はタメ口で喋っているし、俺達の関係が気になるのも無理はない。

「そう。知った仲だよ。とても良くね」

秋月に向かって意地悪く微笑むと、彼女は苦虫を噛み潰したような顔をした。
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