俺様常務の甘い策略
やっぱ、高級マンションで優雅な生活……とはいかないか。

でも……浪費家ではなさそう。ちょっとキープかな。

「すみません。友達が呼んるみたいなのでこれで失礼します」

口角を上げニコッと笑うと、私は壁際まで歩いて一人になり、今日の収穫を一枚一枚じっと眺めた。

収穫とは今日の参加者からもらった名刺の事だ。

名刺は全部で四枚。

開業医に、食品メーカーの幹部に、IT企業の社長に、製薬会社の御曹司らしき研究員。

でも、これという人がいない。

年齢三十前後で、背が高くて、顔が整ってて、お金持ちで、仕事が出来る人なんてそうはいない。

そういう人はすでに結婚してるか、恋人がいる。

他人のものに手を出す程、私も馬鹿ではない。修羅場はごめんだ。

「やっぱり、どこかで妥協しないといけないのかしら?」

ハーッと知らず溜め息がこぼれる。

女の二十八は決して若くない。私の友人のほとんどは結婚して素敵な旦那様がいる。

私だって早く結婚して、子供を産みたい。
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