俺様常務の甘い策略
「胃の中に入れば何だって同じでしょ」

私は小声でボソッと呟くが、地獄耳の田中さんには聞こえていたらしい。

「常務の歓迎会ですよ。秋月さんが主役じゃないんですからね」

「まさか、今日の仕事ってそれしかしてない訳じゃないわよね?そんなに藤堂がお気に入りなら、部屋がちゃんと片付いてるか見て来てよ」

「仕事を受けたのは秋月さんでしょう?最後まで責任持ってやって下さい」

田中さんの言葉に呆気に取られる。

あんたの口から責任って言葉が出てくるとは思わなかったわ。

藤堂の担当はあんたでしょうが。

面倒な事は全部私任せで、あんたは歓迎会の準備で点数稼ぎか?

ほんと、いいご身分ですこと。

呆れてもう何も言えない。

「もう終業時間が来たので私は帰りますね。あまり残業するとお肌に良くなくて」
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