俺様常務の甘い策略
「和久井は俺の後輩なんだ。それに、和久井の前に秋月が話していたIT企業の社長は日本支社の雇われ社長だし、業績によっては明日首になってるかもしれない。良い相手が見つからないなら、俺が血統書付きのを紹介しようか?」

だが、名刺から目を離して顔を上げてみれば、そこにあったのは嫌みなくらい綺麗なあの顔で……。

私は思わず心の中で悪態をついた。

藤堂颯介……。

何であんたがここにいる!

やや長めのダークブラウンの髪に、ミステリアスな切れ長で二重の目。俳優顔負けのその端整なルックス。

ベージュのテーラードジャケットにデニムという彼の洋服の組み合わせは、まるでファッション雑誌のお手本のようだ。カジュアルでも品があって、知的な大人の男性の雰囲気を醸し出している。

こいつの実家は代々政治家で父親は現職の国会議員。歴史の教科書を広げれば政治家だった曾祖父の名前が出てくるという血統書付きのお坊っちゃまだ。

ああ~、何もかもが完璧すぎてムカつくのよ、この男!
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