俺様常務の甘い策略
だから、早く消えてよ。

藤堂を適当にあしらってトレーの上のローストビーフをフォークを持って突き刺すと、彼に突然腕を捕まれた。

「俺をそんな邪険に扱って良いのかな?」

藤堂の目が妖しく光ったかと思うと、彼はそのままローストビーフを私の目をじっと見つめながら自分の口に運ぶ。

何か藤堂がやるとエロいんですけど。

「あっ……」

私のローストビーフが……。

思わず藤堂の綺麗な唇をガン見する。

呆然としていると藤堂が肩を震わせて笑った。

「秋月、面白い顔になってるよ」

「……あんたってほんと意地悪よね。食べ物の恨みは怖いわよ」

恨みがましい目で藤堂を睨みつけるが、こいつは全く動じない。

「秋月限定だから安心して。それにローストビーフはまだあるよ」

秋月限定って何よそれ。全然嬉しくないんですけど。
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