俺様常務の甘い策略
客観的に見ても、仕事をいい加減にやる田中さんに何ら魅力を感じない。

秋月はいつもキラキラした目で何事にも挑戦しようとするけど、田中さんの目にはそんな輝きがない。

「いい男を見つけて、近いうちに寿退社して、それでハッピーエンドになれると思ってるでしょう？」

「……いけませんか？」

田中さんが唇を噛み締めながら答えるが、声は弱々しい。

多分、自分でも気づいているんじゃないだろうか？

今の自分では幸せにはなれないと。

肩書きと見かけだけの男と薄っぺらい結婚をしても、その先にあるのは破滅だ。

本当に好きでもない男と結婚しても幸せにはなれない。

「そう？でも、男はそんないい加減な女、本気で好きにはならないよ。もし、今の自分が嫌なら俺に教えて欲しい。君にピッタリの上司を紹介するよ。君から言い出すまで秘書は変えない」

「……ピッタリの上司？」

俺の言葉に驚いたのか、田中さんがパッと顔を上げる。
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