俺様常務の甘い策略
起きたのかと思ったが目を閉じているところを見ると、寝ぼけているのか寝言なのか怪しい。

「どこの女王さまだ?」って突っ込みたくなったが、取り敢えず寝室の小型冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、キャップを回して蓋を開ける。

「ご所望の水を持ってきたよ」

悪魔のように微笑んでペットボトルの水を口に含むと、秋月に顔を近づけ口移しで飲ませる。

ゴクリと彼女が喉を鳴らすと、俺はほくそ笑んだ。

今夜は何もするつもりはなかったが、俺を煽る秋月がいけない。

「藤堂……もっとちょうーだい」

まだ飲み足りないのか秋月が我が儘な女王のように偉そうな口調でおねだりする。

「藤堂……もっと」

「貪欲だね」

もう一度水を口に含んで、今度はゆっくりと秋月に口移しで飲ませる。

柔らかなその甘い唇。ここで止めようと思ってはいても、もっと秋月が欲しくなる。
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