俺様常務の甘い策略
パコーンと書類を丸めたようなもので頭を誰かに叩かれ、ハッと目覚める。

凄くいい音がしたが、痛くはない。

誰だ……と思ったが、犯人は決まっている。

「秋月、寝ないでよ。これ、今日終わらせないと帰れないよ」

私を見据えながら悪魔のように微笑む藤堂。

「……何で私ばっかり」

目を細めて藤堂を睨み付けながら私はぼやく。

昨日徹夜で試験勉強したせいか、眠くて仕方がない。

他のメンバーは明日も試験だからとか言って、すぐに帰ってしまった。

私も帰りたい……。

「ねえ、私も早く寮に戻って勉強したいんだけど」

「秋月、今さらやっても俺には勝てないよ」

この余裕。

藤堂の不敵の笑顔を見てイラッとする。

いつも自分が一番だなんて思うなよ!

「やってみないとわからないでしょ。最初から諦めてたらチャンスさえないじゃない」

私がそう反論すると、藤堂はちょっと驚いた顔をしたけどすぐに気を取り直して私の頭をクシュクシュッと撫でた。
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