Lost Love~恋の序章~
「ただいま」
「おかえりなさい。隼人君は」
「あ、うん。家まで送ってもらった。もう遅いから寄らないで帰ったけど。パパとママに宜しくって」
「そう。あ、お風呂に」
「後から入る」
今は一刻も早く調べたい。
急いで部屋に入りスマホを取り出して検索。
ミモザ…
ミモザ…
――
―
隼人お兄ちゃん!
また胸がドキドキ煩い。
だ、だってミモザは…
隼人お兄ちゃ…
『これからはお兄ちゃんは無しな』
タクシーを降りる間際に言われた一言。
『えっ?』と顔を見たら目尻にしわを浮かべて悪戯っ子のように笑っていた。
隼人お兄ちゃん、ううん、隼人さん!
もし本当に私にミモザをご馳走してくれるなら… 私はどうしたらいいの?
私にミモザを受け取る資格があるの?
だって私は悠ちゃんが好きだったんだよ。
それでも…
あ~ 頭がごちゃごちゃしてきた。
頭が爆発しそう。
もう考えるのは止めよう。
全ては明日ホームランを打って勝ったらの話しだもん。
でも…
きっと隼人お兄ちゃん、あ、隼人さんは…
ウフッ 私、隼人さんが勝つと思っている。
ね、隼人さん。
これからどうなるか分からないけど新しい一歩を踏め出せそうだよ。
メリーウィドウのようにもう一度素敵な恋を…
そして、いつかミモザを私からも…
だってミモザは…
『真心』
私も真心を持って隼人さんと向かいあいたい。
だから明日はホームランをお願い。
ねっ、隼人さん!
*Fin*