アバター2
通信室はブリッジとCIC(作戦指令室)の間にある。三名で空中を飛び交っている電波を聞き分けている。

川田は、ヘッドセットを付けて、通信室で何も入ってこない無線を聞いている。
艦長室に週に一度、司令部からの至急の命令文書を届けることがある。それはいつ来るか分からない、どうすればいいのだ。ナミのアバタ-は、艦長の情報をもって来なければ着てくれないと言っている。後10日で本物のナミに会えるが、本物よりアバターのナミの方が数段上だ。あのHは天国に行ったようだ。変な麻薬より効き目がある。
どうすればいい。

ドン

ドアが開く音がした。
副長が通信室に入ってきた。
ヘッドセットを少し下げた。

「川田、どうした真剣な顔をして。目つきもおかしいぞ?」

 副長が、定期巡視で川田の変化に気がついた。

「えっ、そうですか。後10日で海自を辞めますので、何となく落ち込んでいます」

 川田は、ナミのアバタ-の事で頭が一杯で顔つきが変わっている。

「そうか、後10日で、辞めるの、寂しくなるなー」
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