アバター2
「相星君はすぐに来ますので、ビールでも飲んでください」
松藤はビールのリングプルを開けた。

「来てからでいいです」と安藤は手を横に振った。

善は四つ用意されている。

「もう、一人誰かこられるのですか?」

「えー。安藤さんに是非紹介したい人がいまして」

「誰です?」

「ドバイの姫君です」

「姫君?」

「石油王の娘が研修で大学に来ているのです」

「王の娘なら働かなくてもよかろうに……」

「アラブを医療で変えようと燃えているようで」

トン トン

「来ました。どうぞ」

相星が頭を深々下げて入ってきた。
相星の丁寧なエスコートで女性が入ってきた。凛とした褐色の肌から鋭い目が安藤を射る。

安藤は思わず立ち上がり、頭にショールを被った女性に近寄る。
松藤も立ち上がる。
生まれ持った王族の血が、人を動かす。

「こちらが、元首相の安藤先生です」
と松藤が安藤を紹介する。

「安藤です。はじめまして」

「サリルと申します」流暢な日本語で、軽く微笑んだ。


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