アバター2
ナミがコスプレしてくれた携帯のアバターを開いた。
携帯画面全面にジャイアンツのユニホームに帽子を深々と被り。足を高く上げ、今にも球を投げようとしている姿が写し出された。
高校まで青春を賭けて野球をやっていたが、万年ベンチウォーマーをしていた。ただ夢だけは捨て去っていなかった。
巨人軍のピッチャーに絶対なるんだと……。
ナミがその夢を見事にアバターで叶えてくれた。

「かっこいいな。巨人の星、21世紀バージョンだなぁ」
川田はそのアバターをくまなくみた。目からスーと頭の中に何かが入ってきたような感じがした。

「こんちは…」

どこからか声がする。
川田は、小さなドアを開けた。
外の通路には誰もいない。
テレビからかとテレビを消した。

「こんちは…」

まだ聞こえる。
川田は狭いカプセルの中を耳を頼りに、声の正体を探した。
隣部屋は任務で誰もいない。

あと音が出るものと言えば?

「携帯だ!」

携帯を見た。
アバターがセットポジションで口を動かして何かをしゃべっている。
川田は耳をすませた。
《こんにちは、私はあなたのアバターです》
アバターが微笑んでいる。

「何だ。これがナミが言ってた凄いサイトとはこの事なのか、喋るアバターなのか」

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