妄想ラブレター



「おーいアキー!」



教室に轟くほどの音量でそう呼びながら、カンがやって来る。



「お前、なんでこんなとこで飯食ってんだ?」

「お前が暑苦しいから避難してるんだよ」

「はぁ? 何をいまさら」

「ぶふっ」



思わずお茶を吹いてしまった。


暑苦しいのは認めるんだな、って思って。



「なんだツヤコ、今日はぼっちかよ。まおみのとこに行かなくていいのか?」

「今日は当番で忙しいんだって」

「ふーん……。それでアキと2人仲良く飯食ってんのかよ」



カンはアキの机に軽く腰を下ろし、目を細めてじっと見つめてる。探るように。奥の奥まで見透かそうとでもするように。


伸びてきたカンの黒い髪が風になびき、たなびく度にあたしの心臓も音を奏でる。



……なんかわかんないけど、居心地悪い。




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