妄想ラブレター
「しかしお前、ここでなに見てたんだ?」
しっかりアキをホールドしたまま、カンは窓の外を覗く。
朝の爽やかな風が頬を撫で、冷たい空気があたしの肺を満たしてゆく。
……ああ、あたしの好きな季節はもうどこかへ行ってしまったんだな。
今年は例年よりも温かいとはいえ、いってももう12月。
世間も季節も凍てつく冬の準備にとりかかっていた。
寒いのは苦手だ。暑いのもヤだけど。
「あっ!」
その時だった。
カンが突然、興奮を抑えきれない様子で声をあげたのは。
「なんだよー、やっぱりお前ってやつは……」
いやらしくニヤつくカン。
片手でアキの頭をグリグリとげんこつ食らわせながらニヤついてる。