妄想ラブレター
「瀬戸はダメなの?」
「でた」
「なにが出た?」
キョトンとした顔で再びポテトを貪る。
「またその話かい、ってこと。さっきも言ったけど、アキには好きな人がいるんだってば」
「それ、瀬戸が言ったの?」
「いっ……」
……た?
ぐるりと脳内を一周する。
言っては、ないかな。
「でも言ったも同然の様子だし。そもそも否定しなかったし」
それに顔真っ赤だったし。間違いないと思う。
「ふーん。じゃあ、艶子は?」
はい?
「艶子は瀬戸の事好きじゃないの?」
「なんでそーなんの?」
「だって艶子、最近楽しそうだったし」
楽しそう?
いや、むしろ……。
「普段そんな楽しくなさそうにしてる……?」
「そうじゃないけど、なんかいつもよりツヤツヤしてる気がしてたから」
ツヤツヤ?
思わず頬に手を当て、窓に映る自分の顔を覗き込む。
「ツヤツヤ……してる?」
「うん」
そうかな。全然普段と変わんないけど。