妄想ラブレター
あたしはアキの靴箱へ向かう。いつもの時間よりは人気が少ないけど、もちろん誰もいないなんて事はありえない。
それでもアキの靴箱付近に人がいなくなる瞬間はある。そんなたった一瞬を狙って、あたしはそばをウロウロ。
タイミングは一瞬だ。
これはラブレター。曲がりなりにもラブレターだ。この中には妄想だらけの恋心が綴られてる。
だから誰かに入れるところなんて見られちゃいけない。
そう思った瞬間、最後の一人が上履きに履き替え去ってゆく。
「今だ!」
鞄の中から手紙を取り出し、目当ての靴箱へと真っすぐ向かう。
アキの靴箱は下から3段目。少し身を屈んで、手紙を靴箱の奥へと押し込もうとした、その時ーー。
「……えっ」
あたしの体はピタリと止まってしまった。