妄想ラブレター
「なんだよ……見てたのかよ」
「あーんな入り口で話し込んでたら目に入るだろーが。んで、なに話してたんだ?」
「なっ、なんでもねーよ」
再びアキの顔が真っ赤に染まってく。
「そんなわけねーだろ〜。大好きな先輩と何を話してたんだ〜?」
「だから違うっつってんだろ! しつけーな」
「照れるなよ。……はっ! さてはお前…………告白したな?」
カンは大げさに驚いた表情で、アキから身を引いた。
あたしも思わず、顔を上げてしまった……。
「あっ」
……しまった。
突発的な動きに、アキもカンもあたしを見てる。
「やっぱり起きてんじゃねーか。ほら、な。ツヤコも気になるよなー?」
うっさいな。あたしにフるなよ。
アキの顔が更に赤みを増してて、フイとあたしから目を逸らした。
「うるせーよ。そんなんじゃねーし」
アキは立ち上がり、そのまま背を向けて教室を出ていってしまった。
次のテストが始まる本鈴と共に教室に戻ってきたアキは、もう顔を赤くは染めていなかった。
平然としたいつもの表情で、あたしの方に目もくれず席に着いた。