妄想ラブレター
*
「ツヤコ」
「なに?」
「なにって……なんでそんなに離れて歩くんだ?」
そう言いながら、アキはズイっと開いた距離を詰めてくる。
「いや、だって」
怪訝そうにさらに距離を詰めるアキ。
「だって……なんだよ」
だって……。
……ってか、アキだって困るでしょーが。
2人で帰るとこなんて見られて先輩に勘違いでもされたら困るのはそっちでしょ。
そう思いつつ言葉に詰まってしまった。そしたら疑念と不満が入り交じったような顔して、アキはあたしから離れてく。
「まぁいいけど。おれ自転車だからここで待ってて」
あたしの返事を聞く前に彼は駆け出してしまった。