妄想ラブレター
「じゃっ、急いで行きますか」
そう言って自転車に股がり、後ろの荷台をポンポンと叩く。
おっと、それって……後ろに乗れって合図だよね。
めっちゃ緊張するんですけど。
「早く乗った乗った。グズグズしてたらお店混んで、待つ事になるぞ。早く食べたいんだろ?」
あたしは学校のかばんの持ち手を使ってリュックみたいに背負い、自転車に股がった。
「ちゃんと掴まれよ。じゃないと落ちるぞ」
そう言われてどこを掴もうかと悩んだけど、結局は荷台を掴んだ。
さすがにアキの腰に手を回す気にはなれないし。
それを想像しただけで胸の奥がむず痒くなりそうで、頭を振った。
「よし、じゃあ行きますか!」
ギッという軋んだ音を奏でた後、アキは一気に加速を始める。