妄想ラブレター



「なぁ、聞いてる?」

「き、きいてる」

「ツヤコ……ちょいちょい様子がおかしくなるのは、何で?」



それはあなたが好きだからです。


でもそんな事は言えない。言えるわけない。



「いやー、ちょっと寒かったからかな。トイレ行ってくる」

「行ってらっしゃい。ごゆっくり」



ごゆっくり?


……はっ! しまった。

お腹下したとか思われた? やばい、違うし。

誤解を招かないように早く戻らなきゃ。


でもあそこで待ってたら本当にお腹こわすかもしれない……緊張のしすぎで。


髪をひとつに束ね、こざっぱりとした格好をした店員さんが物腰柔らかにあたしをトイレへと案内してくれた。


トイレの中は白と金色の装飾、ヨーロッパ調とでもいうのだろうか、とにかくオシャレ。


楕円形の鏡の前に立ち、あたしは大きく溜め息を零す。



「はぁぁぁ~」




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