妄想ラブレター
「2名様でお待ちの瀬戸様ー」
「はい」
今の今まで笑ってたヤツが、店員さんに呼ばれて一瞬でよそ行きの表情を見せた。
スクッと立ち上がってーーあれ?
「ツヤコ? 置いてくぞ」
「アキちょっと待って」
店員さんの後を追うアキの鞄をぎゅっと掴む。驚いた顔して見つめるアキの目線……ちょっと高くない?
「アキ……身長、伸びた?」
あっ、言わなきゃ良かった。
突然得意そうな表情で片眉を釣り上げて、鼻で笑われた。
「やっと気づいたか」
「いや、大して変わってないから」
「おれの身長はこっから飛躍的に伸びんだよ」
なんかくやしい。カンもアキもどうしてあたしを置いて成長してゆくのか。
「……ふん、どーだか。まだ大してあたしと身長変わんないクセに」
「おい、聞こえてるぞ」
「おっと、失礼失礼」
わざとらしく口元を抑えて、驚いた素振りをした。