妄想ラブレター



だって、ずるい。アキ達ばっか、ずるい。


でもそれよりも……心配だ。


本当にこのまま身長が伸びてったら、きっとアキはモテると思う。


この鞄の中に入ってるような類いの手紙を沢山もらうんじゃないだろうか。


そしたらきっと、あたしとラブレターのやり取りなんか不要になる。


ううん、それ以前にアキには彼女が出来るかもしれない。


ーー雪村先輩。


先輩はアキの事どう思ってるのか知らないけど、きっと……。



「ツヤコ、おい、ツヤコって」



声にハッとし、気がつけば店の真ん中で鞄を抱きしめて立ち止まってた。


そんなあたしの様子を勘ぐるような目で見つめてるアキ。ツンと切れ長な瞳はあたしを捕らえたまま、歩み寄ってくる。



「本当にどうしたんだ? マジで様子おかしいぞ」

「ご、めん」



探るように見つめるアキの目をかいくぐって、足早に歩き出す。すでにあたし達が座る席の前で不思議そうに見つめている店員さんの元へ向かって。



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