妄想ラブレター



「まぁ過ごしてたけどね。ドタキャンするとかほんとありえないんだけど」



そう、今日は本当なら彼氏と買い物してる約束だったらしい。

けど、急用が出来たとかでドタキャンされたっていうえりなからの怒りの電話がかかってきて、暇だったあたしはその彼氏の代役を務めた。



「で、今彼氏は何人なのよ」

「あっ、記録更新したよ。今5人なの」

「5人!?」



さすがにそれは多すぎない? ってかどーやって付き合ってんの?


カフェオレをテーブルに置こうとしていた店員さんの手が小さく揺れた。

あたしの驚いた声があまりに唐突で、大きかったからに違いない。

カップの中のカフェオレが大きく揺れて、もう少しでソーサーに溢れるところだった。

寸前のところで遠心力による揺れでなんとか溢れるのは免れて、店員さんもほっとした顔を見せている。

その店員さんが注文の品を全て並べ、伝票をテーブルに置いたところを見計らい、あたしは再び口を開いた。



「それ、バレないの……?」

「もちろん、バレないように努めてるもん」



……もん、って。


そういう問題?



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