妄想ラブレター
「あたしの話はいいんだよ」
ミルクティをひと口飲み、カップから離れたふっくらとしたルージュの唇がそっと言葉を零す。
「艶ちゃんこそ、瀬戸とはどーなの?」
どうって……。
「どーもしないよ」
「えっ、なんで? 冬休み中会ったり、連絡取り合ったりしてるでしょ?」
「してない、してない」
あまりにも当たり前のように言うから、慌てて首をぶんぶん振りながら否定する。
そんなあたしの様子を見て、えりなの大きな瞳がこぼれそうなほど見開かれた。
「うっそ? 一度も?」
「一度も」
「なんで?」
無邪気な子供のように純粋に疑問を投げかける。
……なんでって言われても。
「そもそもあたしアキの連絡先すら知らないし」
「えー!」
可愛いアヒル口がパクパクしてる。
ほんと可愛い子はどんな顔をしても可愛んだなってえりなを見てるといつも思う。むしろそれに感動すら覚える。