妄想ラブレター
「……艶ちゃんはあたしと真逆だよね」
「まぁ、そうかもね」
愛らしいえりなに比べたら、あたしなんて月とスッポン。
性格や恋愛経験だってそうだし。
「あたし中学の時、艶ちゃんってすごいって思ったんだ」
はい?
「なにに?」
純粋な言葉が口を突いて出た。
だって本当にわからなかったから。
「中学の時、あたしってすごい女子に嫌われてたでしょ? でも艶ちゃんはいたって普通の態度だったもん」
「いや、中学の時は周りの反応も異常だったし」
「まぁね。それもあると思うけど、でも、少しは気持ちもわかるんだよ。だってあたし男の子とばっか話してたし、挙げ句二股してるのとかバレた事もあったし」
「あー、あったね」
それはあたしと関わる前の話だけど。中学の頃のえりなは相変わらずだったけど、隠すのが下手だった。
「やっぱそういうのを見たり聞いたりすると、誰だって良いイメージ持たないでしょ。それに中学は党だって仲間を作るし。あたしなんて嫌われても仕方なかったもん」
「うーん……そうかもしれない。けど、それを否定するほどあたしは経験値もなければ、偉くもないし。だから別に嫌う理由にも避ける理由にもならなかったんだけど」
「……そういう風に思う人って、凄く少ないんだよ」
そう言って小さく笑った。