妄想ラブレター
「でもね、艶ちゃんは恋愛でどうこう言ってる子達とは一線引いてたでしょ? それがあたしにとっては良かった事ではあったけど……だからこそ、恋愛に対してどこか消極的なんだと思うんだ」
「どういう事?」
「例えばさ、勉強やスポーツとかと同じで、毎日積み重ねがなければ上達しないでしょ? 恋愛も同じなんじゃないかな。艶ちゃんはいざこざが面倒くさくって恋愛ってものから一線引いてた。だから恋愛について初歩的なところで躓いちゃうんだよ。実際好きな人が出来たとしても、どう動けばいいかわからない……ってね」
気がつけば口を開けてえりなを魅入ってた。
……さすが。だてに恋愛の数こなしてないね。
えりなの言う通りかもしれない。
あたしは恋愛に対して面倒くさいってイメージしかなくって、だからきっとあたしは恋に対して訛ってるんだと思う。
テレビで聞いた事がある。歌手は毎日発声練習なり、歌うなりしなければカンが鈍ってしまうって。きっとそれと同じ状態なんだ。
アキの事が好きだって気づいて、どうしたらいいのかわからない。
変に緊張して上手くいかなかったり、ちょっとした事にも過敏に反応してしまったり……。
これはツケなのだろうか。全ては恋愛を放棄していた、ツケ。