妄想ラブレター



「初めての経験とか、新しい事をする時って怖いでしょ? でも、それが当たり前なんだよ。誰だって怖いもん」

「百戦錬磨のえりなでも?」



思わず口にした言葉に、えりなは瞳を真ん丸にして驚いた。そして、さも可笑しそうにクスクス笑った。



「百戦錬磨なんかじゃないよ。上手くいかない時だってたくさんあるんだからね」



そうなんだ……。

あたしから見れば、えりなはいつも彼氏がいて、恋愛に関して上手くいかない事なんてないと思ってた。


いつでも好きな人がいて、いつでも好きな人と付き合える。それがすごく羨ましいと思った。


アキに恋をしてからは……。



「上手くいってるように見えるのなら、それはきっと、それだけ数をこなしたからかもしれないね」



それって、どれだけ数こなせばいいのよ。ってついツッコミそうになった。


同時進行も踏まえるのであれば、一体どれほどの場数をこなしてるんだろう……あたしには想像も出来ないし、出来そうにもない。


多分渋い顔をしていたせいなんだろうな、えりなは再びクスクス笑いながら口を開いた。



< 198 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop