妄想ラブレター



「ねぇ、艶ちゃん」

「……ん?」



この場から離れていた意識が、えりなの言葉に反応し、戻ってきた。


カップから目を離し、お団子頭の彼女を見つめる。


けれどえりなは横を向いたまま、あたしに問いかけていた。



「艶ちゃん前にさ、瀬戸には好きな人がいるって言ってたよね?」

「えっ? うん、言ったけど……」



雪村先輩。それがアキの好きな人。


雪村先輩とアキが校庭で一緒にいた時の様子を思い出し、胸が締め付けられる様に苦しくなった。


背は少しばかり先輩の方が高いけど、きっとこのままアキの身長が伸び続ければ……。


そこまで思ってあたしは思いきり首を振る。


だめだ、今マイナスな事しか頭に浮かばない。



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