妄想ラブレター



「でもね……瀬戸って、本当に先輩の事が好きなのかなぁ?」

「うん、多分そうだと思う」

「多分? じゃあやっぱり瀬戸は認めたわけじゃないんだよね?」

「まぁ……そう、だけど」


……多分っていうのは、自分に対する保険だ。


やっぱりどこかで期待したいから。

かっこ悪くて、みっともないと思うけど、けど、やっぱりアキは先輩の事を好きじゃないって思いたい。


それはあたしの願いでもある。ただの願望。


アキはずっと否定してた。カンにからかわれる度に、そんなんじゃないって否定してた。


……その度に顔を真っ赤にしながら。


アキの性格なら、周りにからかわれて肯定する事はないと思う。


ひっそりと、想いを育む人なんだ…………あのラブレターに綴られた言葉のように。



< 204 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop