妄想ラブレター
「でもね……瀬戸って、本当に先輩の事が好きなのかなぁ?」
「うん、多分そうだと思う」
「多分? じゃあやっぱり瀬戸は認めたわけじゃないんだよね?」
「まぁ……そう、だけど」
……多分っていうのは、自分に対する保険だ。
やっぱりどこかで期待したいから。
かっこ悪くて、みっともないと思うけど、けど、やっぱりアキは先輩の事を好きじゃないって思いたい。
それはあたしの願いでもある。ただの願望。
アキはずっと否定してた。カンにからかわれる度に、そんなんじゃないって否定してた。
……その度に顔を真っ赤にしながら。
アキの性格なら、周りにからかわれて肯定する事はないと思う。
ひっそりと、想いを育む人なんだ…………あのラブレターに綴られた言葉のように。