妄想ラブレター
「そー言うなよ。少なくともおれは楽しめて、秋月はノートのコピーが手に入る。双方にとって良い事だろ?」
「……うーん」
それはちょっと魅力的。でもやっぱノートなら他の子に頼んでもいいわけだし……。
「おれ、国語は苦手だけど他はそこそこ出来るんだ。テストのヤマなんかも教えるぞ?」
「ううーん……」
それも魅力的だけど……。
「……せめて、もうひと声」
「よしっ、大盤振る舞いだ! 1手紙につき1お菓子贈呈でどうだ!?」
「うーん……」
確かにそれは魅力的だな……。
「……よし、ノった!」
そう言って、あたしは瀬戸に右手を差し出した。
瀬戸はそれをカンマ入れず握り返した。
交渉が成立した瞬間だった。